飲食業許可

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飲食業といっても、営業時間や酒類の提供の有無、接客スタイル等によって、取得すべき許可や届出が変わってきます。また、喫煙を可能とするかどうかでも講ずるべき対策が必要になります。無許可はもちろんですが、取得すべき許可が無ければ、営業することができません。
例えば、風俗営業(スナックなど)を行うには、公安委員会に「許可」が必要となります。また、深夜酒類提供飲食店(バーなど)の場合は、公安委員会に対して「届出」が必要になります。図面を含め的確な申請書類を作ることが大切です。
当事務所ではお客様が作りたいお店についてしっかりヒアリングを行い、事務手続きをサポートいたします。面倒な書類作成などは当事務所に全てお任せください。

※「飲食店」、「風俗営業(キャバクラやゲームセンターなど)」、「深夜酒類提供飲食店(バーなど)」をこれから開業される予定の方は、店舗所在地の用途地域の確認(風俗営業の場合はさらに店舗周辺に保全対象施設が無いことの確認)をすることがとても重要です。店舗を借りたり、内装工事を行う前に必ず確認しましょう!
これを怠ると、店舗を借りて内装工事までしたけど、許可が下りなかった…ということもあり得ます。

飲食店営業許可申請

飲食店店員の男女

飲食業店営業とは、簡単に言えば「食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業」のことを言います。

飲食店営業をする場合は、食品衛生責任者の設置と、店舗の所在地を管轄する保健所の許可が必要になります。

なお、青森県の場合、飲食店営業許可申請前に食品衛生責任者講習会を受講していなくても申請は可能で、許可証も発行されます(令和6年4月現在)。ただし、事前に受講時期等を保健所と調整しておきましょう。

飲食店における喫煙

2020年4月1日に全面施行された改正健康増進法により、望まない受動喫煙の防止を図るため、対策を講じることが義務付けられました。違反した場合、保健所の立入検査による指導・助言、勧告、措置命令、公表、過料(最大20〜50万円)の処分の対象となります。

喫煙が可能な飲食店を営業するには、

・喫煙専用室
・指定たばこ専用喫煙室
・喫煙可能室(既存特定飲食提供施設における経過措置)
・喫煙目的施設(室)

のいずれかの類型の要件を満たす必要があります。

喫煙室の技術的基準

まず、上記4つの喫煙室のいずれの類型においても必ず必要な「喫煙室の技術的基準」について説明します。

①出入口において喫煙室の外側から内側に流入する空気の気流が0.2m/秒以上
②たばこの煙が喫煙室の内側から外側に流出しないように壁・天井等によって区画
③たばこの煙が施設の屋外に排気
※施設が複数階の場合は、壁・天井等で区画した上で、喫煙階と禁煙階を分ける取扱い(フロア分煙)も可能。

喫煙専用室

要件

・喫煙専用室内での飲食等は不可
・喫煙室の技術的基準を満たしていること
・喫煙専用室の出入口に標識(喫煙ができる場所であること、20歳未満の者の立入禁止)の掲示
・施設の出入口に標識(喫煙専用室が設置されていること)の掲示

喫煙可能であるたばこの種類

たばこ全般(紙巻きたばこ、葉巻、パイプ、加熱式たばこ 等)

留意事項

・20歳未満の者の立入禁止(従業員含む)
・喫煙専用室廃止時における標識の除去

指定たばこ専用喫煙室

要件

・「指定たばこ専用喫煙室」では、加熱式たばこに限り、喫煙しながら飲食等が可能
・喫煙室の技術的基準を満たしていること
・指定たばこ専用喫煙室の出入口に標識(指定たばこの喫煙ができる場所であること、20歳未満の者の立入禁止)の掲示
・施設の出入口に標識(指定たばこ専用喫煙室が設置されていること)の掲示

喫煙可能であるたばこの種類

加熱式たばこ(紙巻たばこ等の他のたばこは禁止)

留意事項

・20歳未満の者の立入禁止(従業員を含む)
・営業に関する広告・宣伝の際の「指定たばこ専用喫煙室」設置の明記
・指定たばこ専用喫煙室廃止時における標識の除去

喫煙可能室

要件を満たす既存特定飲食提供施設では、経過措置として「喫煙可能室」を設置することが可能です。

要件

・令和2(2020)年4月1日時点で既に営業していること
・資本金または出資の額の総額が5,000万円以下の中小企業または個人経営等であること
・施設内の客席部分の床面積が100㎡以下であること
・保健所へ「喫煙可能室」の届出を行うこと
・喫煙室の技術的基準を満たしていること
・喫煙可能室の出入口に標識(喫煙ができる場所であること、20歳未満の者の立入禁止)の掲示
・施設の出入口に標識の掲示

喫煙可能であるたばこの種類

たばこ全般(紙巻きたばこ、葉巻、パイプ、加熱式たばこ 等)

留意事項

・20歳未満の者の立入禁止(従業員を含む)
・営業に関する広告・宣伝の際の「喫煙可能室」設置の明記
・喫煙可能室廃止時における標識の除去

喫煙目的施設

喫煙目的施設(室)では、飲食等、喫煙以外のことも可能です。

対象

・喫煙を主目的とするバー、スナック等で
①たばこの販売許可を得ており、たばこの対面販売(出張販売を含む)をしていること
②「通常主食と認められる食事※」を主として提供していないこと
※「米飯類、菓子パンを除くパン類、麺類」等のことをいい、出前による主食の注文、電子レンジの加熱等によるものは「主食の提供」には該当しません。

・店内で喫煙可能なたばこ販売店で
①たばこ(対面販売のみ)又は喫煙器具の販売を行っていること
(販売は、陳列棚のうち、たばこ又は喫煙器具の占める割合が約5割以上となること

・公衆喫煙場所
(屋内の全部を専ら喫煙をする場所とする施設)

要件

・喫煙室の技術的基準を満たしていること
・喫煙目的施設(室)の出入口に標識の掲示

喫煙可能であるたばこの種類

たばこ全般(紙巻きたばこ、葉巻、パイプ、加熱式たばこ 等)

留意事項

・20歳未満の者の立入禁止(従業員を含む)
・営業に関する広告・宣伝の際の「喫煙目的施設(室)」設置の明記
・喫煙目的施設(室)廃止時における標識の除去

風俗営業許可申請

風俗営業の種類

風俗営業許可は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法、風適法)」2条1項の各号に定められた営業を行う際に必要となる許可です。

・第1号営業・・・「キヤバレー、待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」

・第2号営業・・・「喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの」

・第3号営業・・・「喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの」

・第4号営業・・・「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」

・第5号営業・・・「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業」

簡単に言うと、

・第1号営業・・・キャバクラ、ホストクラブ等の接待を伴う社交飲食店

・第2号営業・・・低照度飲食店

・第3号営業・・・ネットカフェ等、区画席飲食店

・第4号営業・・・麻雀店、パチンコ店等、その他遊技場

・第5号営業・・・ゲームセンター等

となります。

風俗営業は、原則午前0時までしか営業できません。ただし、条例で営業時間の延長が定められている場合もあります。青森県の場合は、特定の地域で午前1時までの営業が認められています。

注意点としては、

個人で取得した風俗営業許可を、新しく設立した法人に承継させることはできません。この場合には一旦個人の風俗営業許可の廃業届を提出して、法人で新たに営業許可を取る必要があります。ですから、法人化する予定があるのなら、先に法人を設立した方が良いでしょう。
また、営業所を移転する場合は、新たに許可を取得しなければなりません。

5号営業の10%ルール

『風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準』に5号営業に限っての特例として、

客室全体の床面積(カウンターやレジの内側等専ら従業者の用に供されている部分や洗面所等は含まない。)に対して、客の遊技の用に供される部分の床面積(遊技設備の直接占める面積のおおむね3倍として計算するものとする。ただし、1台の遊技設備の直接占める面積の3倍が1.5平方メートルに満たないときは、当該遊技設備に係る床面積は1.5平方メートルとして計算するものとする。)が10%を超えなければ、風営法の許可を不要とする通称「10%ルール」と呼ばれるものがあります。

許可は不要ですが風俗営業に変わりはなく、風営法の適用の対象になりますので、注意が必要です。

風営法とダーツ

警察庁の『風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)(平成30年9月21日付け警察庁丙保発第12号、丙少発第28号。)』によると、「運動競技又は運動競技の練習の用に供されている実態が認められる遊技設備については、営業者により、当該遊技設備が本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技の用に供されないために必要な措置が適切に講じられていると認められる場合には、当面、賭博、少年のたまり場等の問題が生じないかどうかを見守ることとし、規制の対象としない」、という扱いになっています。

上記基準により、ダーツは風営法の第5号営業の規制対象となるのかならないのか、という問題がありました。

そこで、『デジタルダーツ及びシミュレーションゴルフを設置して客に遊技をさせる営業の取扱いについて(通達)』によると、デジタルダーツ(ダーツゲームのうち矢の当的位置に応じて得点が自動的にデジタル表示される遊技設備)やシミュレーションゴルフ(防球ネット等で区画された区画内の打席から、ゴルフコースの映像が投影された大型スクリーンに向かって、実際にゴルフクラブでボールを打撃することにより、センサーで感知した情報がコンピュータで処理され、スクリーン上に結果としての飛球方向の軌跡やボールの位置、飛距離、スコア等が表示されるもので、合計打数・ホール毎の打数等の結果を競う対戦モードや練習モード等の機能を有するものがある遊技設備)の取り扱いについて、下記のように風営法の許可の要否について示しています。

「デジタルダーツについては、プロ選手による競技が長期にわたり行われており、シミュレーションゴルフについては、ゴルフの練習の用に供されているなど、運動競技又は運動競技の練習の用に供されている実態が認められる。そこで、従業員が目視又は防犯カメラの設置により、当該営業所に設置されている全てのデジタルダーツ及びシミュレーションゴルフの遊技状況を確認することができ、また、当該営業所に法第2条第1項第5号に規定する営業の許可を要する遊技設備(以下「対象遊技設備」という。)が他に設置されていない場合(デジタルダーツ及びシミュレーションゴルフ以外の対象遊技設備が設置されている場合であって、当該対象遊技設備設置部分を含む店舗の1フロアの客の用に供される部分の床面積に対して当該対象遊技設備が客の遊技の用に供される部分が占める割合が10パーセントを超えない場合を含む。)には、当該デジタルダーツ及びシミュレーションゴルフについては、営業者により、本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技の用に供されないために必要な措置が適切に講じられていると認められるものとして、当面、賭博、少年のたまり場等の問題が生じないかどうかを見守ることとし、規制の対象としない扱いとする。」

簡単にいうと、
デジタルダーツとシミレーションゴルフはプロ選手いるし、運動競技又は運動競技の練習の用に供されている実態があるから、要件満たせば風営法の5号許可はいらない。
その要件は、

・従業員が目視又は防犯カメラの設置により、当該営業所に設置されている全てのデジタルダーツ及びシミュレーションゴルフの遊技状況を確認することができること
・風営法5号に規定する営業の許可を要する遊技設備が他に設置されていないこと(10%ルールで置いている遊戯設備は、遊戯設置を他に設置しているとしてみられます)

ということです。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出

バーのカウンター

深夜酒類提供飲食店営業とは、深夜(午前0時から日の出までの時間)に酒類を提供する飲食店の営業のことを言います。
例えば、バー・ガールズバー・ダーツバー・居酒屋等が該当します。
営業開始日の10日前までに届出をする必要があります(届出日の10日後以降に営業可能)。

午前0時までの営業であればこの届出は不要です。また、主食を提供し、飲食の大部分が主食を食べている場合 (お酒を提供することを主な目的としない、ラーメン店、レストランなど)は対象外です。

前述の「風俗営業許可」と「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」は原則併用不可です。

「届出」なので、簡単に思われるかもしれませんが、警察署に提出する書類は風俗営業許可申請よりも若干提出書類が少ない程度で、細かく正確な図面の作成も必要ですし、管轄の警察署によっては法定の添付書類以外のものも求められます。また、届出後に警察による現地調査も実施されます(地域によって異なる)。