相続・遺言

目次

相続

家系図と通帳と印鑑

突然大切な方が亡くなられたことで、何から手を付ければいいのか分からない方のために、まずは一つ一つ丁寧に手続きの説明をさせていただきます。不安な点や疑問点に関しても、面談時に丁寧に対応させていただきます。

相談する前に準備するものはありますか?

被相続人(亡くなられた方)と相続人の氏名・住所・生年月日・本籍、被相続人の死亡日などをわかる範囲でお知らせください。相続財産についてもお伺いしますので、通帳や毎年5,6月頃に市役所から送られてくる固定資産税の納税通知書もご用意ください。

当事務所では一般的に下記の流れで手続きをいたします。

STEP
相続人の調査

まずは、被相続人(亡くなられた方)の家族関係をお客様からヒアリングをします。その情報をもとに、お客様に代わって、被相続人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)、改製原戸籍、除籍謄本、住民票等を各市町村で取得し、法定相続人を確定します。

そして、法務局の「法定相続情報証明制度」を用い、法定相続人を明らかにする「法定相続情報一覧図」を作成し、登記所に申し出をします。

STEP
相続財産の調査

被相続人の預貯金、不動産の有無、金融証券、負債の有無について調査します。相続税が発生するようであれば、相続税の申告は税理士への依頼となります。
なお、被相続人名義の通帳やキャッシュカードが無く、「口座があるかどうかわからない」という状態でも、被相続人名義の口座の有無を調べることは可能です。ただし、調査の結果、口座が無かったとしても、「口座が無いことの証明書」のようなものは銀行から発行はされませんので、ご了承ください。

STEP
遺産分割協議書・遺産分割協議証明書の作成

相続人間で、相続財産の分配方法等を決めていただき、遺産分割協議書・遺産分割協議証明書の起案・作成をします。

STEP
遺産分割協議書・遺産分割協議証明書への署名・押印

作成した遺産分割協議書・遺産分割協議証明書へ署名と実印の押印、印鑑証明書の取得をお願いします。

STEP
各種解約・払い戻し、名義変更手続き

預貯金の解約・払い戻し、不動産の名義変更(司法書士に依頼します)、自動車の名義変更等を行います。

※銀行の預貯金解約手続きは、銀行内部での確認手続きがあるため、銀行の窓口に書類を提出してから3週間から5週間ほどかかります。
大体の目安として、
青森銀行は2から4週間程度、
みちのく銀行は3週間程度、
青森県信用組合は3週間程度、
青い森信用金庫は4から5週間程度、
青森農業協同組合(JA青森)は即日、
ゆうちょ銀行は4から5週間程度かかります。

※出資金の払い戻しは、1年から2年かかることもあります。

STEP
農業委員会など各種必要な届出

農地を相続した場合の農業委員会への届け出、山林を相続した場合の市町村への届け出、未登記家屋の所有者変更届け出等、相続に伴い必要な各種届け出を行います

やることがたくさんあるんですね。大変そうだから放置しようかな。

相続手続を放置しておくと、新たに相続が発生するなどした場合、相続人が増え、権利関係が複雑になっていきます。あまり面識がない相続人が登場すると、手続きに協力してもらえない可能性もありますので、早めに手続きをした方が良いと思います。

また、不動産については「相続登記の義務化」が令和6年4月1日から始まっています。正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

相続手続きは調査等に時間がかかります。また、相続放棄や相続税の申告については期限もあります。大切な方が亡くなられて、気持ちの整理がつかないとは存じますが、早めに手続きの検討をしていただけたらと思います。

遺言

遺言書とエンディングノート

将来のことを考え、遺産分けを今から考えておきたい方に公正証書遺言の作成をお勧めしております。子供がおられない方や特定の方に遺産を残したい方からの相談が増えております。

遺言の方式

遺言は、民法に定める方式に従わなければ、することができません。
遺言には「普通の方式」と「特別の方式」があります。

普通の方式には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

自筆証書遺言

民法968条

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

民法968条のとおり、自筆証書遺言は、自分で自書し押印する遺言です。自分で手書きして押印です。

自筆証書遺言の緩和
ただ、民法改正により要件が少し緩和されました。

民法968条2項

自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

これは、遺言とは別に、相続財産が書かれた財産目録を作成して添付する場合は、その目録だけは自書でなくても良いということです。ただ、その目録(目録が両面なら両面)に署名と押印してね、という意味です。


財産目録の形式に特段の定めはなく、パソコンで作成しても良いですし、不動産の登記事項証明書を財産目録として添付することや,預貯金について通帳の写しを添付することもできます。また、 遺言者以外の人が作成することもできます。詳しくは、下記の法務省のQ&Aがわかりやすいのでご確認ください。

法務省ホームページ ”自筆証書遺言に関するルールが変わります。” より(クリックすると展開されます)

Q1 改正の概要はどのようなものですか?
 民法第968条第1項は,自筆証書遺言をする場合には,遺言者が,遺言書の全文,日付及び氏名を自書(自ら書くことをいいます。)して,これに印を押さなければならないものと定めています。今回の改正によって新設される同条第2項によって,自筆証書によって遺言をする場合でも,例外的に,自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録(以下「財産目録」といいます。)を添付するときは,その目録については自書しなくてもよいことになります。自書によらない財産目録を添付する場合には,遺言者は,Q4のとおり,その財産目録の各頁に署名押印をしなければならないこととされています。

Q2 財産目録はどのようなときに作成するのですか?      
 遺言書には,しばしば,「○○をAに遺贈する。」とか「△△をBに相続させる。」といった記載がされます。遺言者が多数の財産について遺贈等をしようとする場合には,例えば,本文に「別紙財産目録1記載の財産をAに遺贈する。」とか「別紙財産目録2記載の財産をBに相続させる。」と記載して,別紙として財産目録1及び2を添付するのが簡便です。このように,遺贈等の目的となる財産が多数に及ぶ場合等に財産目録が作成されることになるものと考えられます。

Q3 財産目録の形式に決まりはありますか?
 目録の形式については,署名押印のほかには特段の定めはありません。したがって,書式は自由で,遺言者本人がパソコン等で作成してもよいですし,遺言者以外の人が作成することもできます。また,例えば,土地について登記事項証明書を財産目録として添付することや,預貯金について通帳の写しを添付することもできます。 いずれの場合であっても,Q4のとおり,財産目録の各頁に署名押印する必要がありますので,注意してください。

Q4 財産目録への署名押印はどのようにしたらよいのですか?
 改正後の民法第968条第2項は,遺言者は,自書によらない財産目録を添付する場合には,その「毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては,その両面)」に署名押印をしなければならないものと定めています。つまり,自書によらない記載が用紙の片面のみにある場合には,その面又は裏面の1か所に署名押印をすればよいのですが,自書によらない記載が両面にある場合には,両面にそれぞれ署名押印をしなければなりません。 押印について特別な定めはありませんので,本文で用いる印鑑とは異なる印鑑を用いても構いません。

Q5 財産目録の添付の方法について決まりはありますか?
 自筆証書に財産目録を添付する方法について,特別な定めはありません。したがって,本文と財産目録とをステープラー等でとじたり,契印したりすることは必要ではありませんが,遺言書の一体性を明らかにする観点からは望ましいものであると考えられます。なお,今回の改正は,自筆証書に財産目録を「添付」する場合に関するものですので,自書によらない財産目録は本文が記載された自筆証書とは別の用紙で作成される必要があり,本文と同一の用紙に自書によらない記載をすることはできませんので注意してください。

Q6 自書によらない財産目録の中の記載を訂正する場合にはどのようにしたらよいのですか?
 自書によらない財産目録の中の記載を訂正する場合であっても,自書による部分の訂正と同様に,遺言者が,変更の場所を指示して,これを変更した旨を付記してこれに署名し,かつ,その変更の場所に印を押さなければ,その効力を生じないこととされています。

出典 法務省  “自筆証書遺言に関するルールが変わります。”
   (https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00240.html)(参照 2024/8/26)

以下執筆中です

押印について

自筆証書遺言の要件である押印ですが、実印(役所に登録した印鑑)であることまでは要求されていません。下記の最高裁の判例では、拇印・指印でも遺言は有効に成立するとしています。認印でも成立します。

自筆証書によつて遺言をするには、遺言者が遺言の全文、日附及び氏名を自書した上、押印することを要するが(民法九六八条一項)、右にいう押印としては、遺言者が印章に代えて拇指その他の指頭に墨、朱肉等をつけて押捺すること(以下「指印」という。)をもつて足りるものと解するのが相当である。


最判平成元年2月16日判決 裁判所HP参照(昭和62年(オ)1137 号)

ただし、指印は通常、押印者の死亡後は対照すべき印影がないために、遺言者本人の指印であるか否かが争われても、これを印影の対照によつて確認することはできないですし、認印についても同様のことが言えます。したがって、遺言作成者の本人性と真意の確保のため、争いを避けるために押印は実印でするべきでしょう。

封筒について

封筒

検認について

「検認」とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。
なお,公正証書による遺言のほか,法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される「遺言書情報証明書」は,検認の必要はありません。

公正証書遺言

秘密証書遺言

遺留分について

遺留分

証人について
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