建設業許可取得には、営業所技術者(専任技術者)が必須
建設業許可の取得のためには、営業所技術者(旧名称:専任技術者)は必ず必要です。
請負金額は関係ありません。
「そんなことわかってます」という方はここで読むのをやめてもらって大丈夫です。
「えっ、そうなの?」という方は、誤情報を掴まされています。
なぜこのような話をしているかというと、誤情報によって当事務所に影響が出たからです。
お客様から
「つがる市の行政書士のホームページに、一定の金額を超えなければ専任技術者がいらないと書いているのですが、本当ですか?」という問い合わせがありました。
調べてみると、ホームページではなく、[note]という、ブログのようなSNSのようなサイトに書かれていました。
下の枠内は当該ページに記載されている間違っている情報です
金額基準はココがポイント!(2025年から改正)
専任技術者を置かなければいけない工事金額は、2025年から変わっています↓
建築一式・土木一式工事
→9,000万円以上
それ以外の工事(電気工事、内装仕上げ工事など)
→4,500万円以上
つまり、この金額を超える工事を請け負うなら「専任技術者」が必須です。
上記を普通に読めば、4,500万円以下の工事しかしないのであれば、営業所技術者(旧名称:専任技術者)が要らないように書いていますが、完全に間違いです。
建設業法第7条第2号に建設業の許可基準の一つとして、営業所技術者を置くことを求められていて、営業所技術者を置かなくても良い規定はありません。
建設業法第7条
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
二 その営業所ごとに、営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて、次のいずれかに該当する者をいう。第十一条第四項及び第二十六条の五において同じ。)を専任の者として置く者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。第二十六条の八第一項第二号ロにおいて同じ。)若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。同号ロにおいて同じ。)若しくは高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。同号ロにおいて同じ。)を卒業した(同法による専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
三 法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。
四 請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。
また、建設業許可を取得した建設業者は、現場に配置技術者(主任技術者または監理技術者)を置かなければならないのですが、
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、工事一件の請負金額が4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上のものについては、工事の安全かつ適正な施工を確保するために、設置される主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに専任の者でなければならないということ、と混同していると思われます。
建設業法第26条(主任技術者及び監理技術者の設置等)
(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。
3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。ただし、次に掲げる主任技術者又は監理技術者については、この限りでない。
一 当該建設工事が次のイからハまでに掲げる要件のいずれにも該当する場合における主任技術者又は監理技術者
イ 当該建設工事の請負代金の額が政令で定める金額未満となるものであること。
ロ 当該建設工事の工事現場間の移動時間又は連絡方法その他の当該工事現場の施工体制の確保のために必要な事項に関し国土交通省令で定める要件に適合するものであること。
ハ 主任技術者又は監理技術者が当該建設工事の工事現場の状況の確認その他の当該工事現場に係る第二十六条の四第一項に規定する職務を情報通信技術を利用する方法により行うため必要な措置として国土交通省令で定めるものが講じられるものであること。
二 当該建設工事の工事現場に、当該監理技術者の行うべき第二十六条の四第一項に規定する職務を補佐する者として、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者に準ずる者として政令で定める者を専任で置く場合における監理技術者
4 前項ただし書の規定は、同項各号の建設工事の工事現場の数が、同一の主任技術者又は監理技術者が各工事現場に係る第二十六条の四第一項に規定する職務を行つたとしてもその適切な遂行に支障を生ずるおそれがないものとして政令で定める数を超えるときは、適用しない。
5 第三項の規定により専任の者でなければならない監理技術者(同項各号に規定する監理技術者を含む。次項において同じ。)は、第二十七条の十八第一項の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であつて、第二十六条の六から第二十六条の八までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうちから、これを選任しなければならない。
6 前項の規定により選任された監理技術者は、発注者から請求があつたときは、監理技術者資格者証を提示しなければならない。
技術者という単語と専任という単語が多すぎて、営業所技術者(旧名称:専任技術者)と配置技術者や主任技術者、監理技術者と区別がつかず理解が出来ていないから、こういう記事になったのかと思います。
簡単に用語の確認です。
営業所技術者(旧名称:専任技術者)
・建設業許可の要件の一つ。業種に応じた資格や実務経験が必要。
・営業所ごとに置く。
・建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者。
・専任について
原則:専任。
例外:要件を満たせば配置技術者と兼任可能。
配置技術者
・主任技術者、監理技術者のこと。
・主任技術者又は監理技術者となるためには、一定の国家資格や実務経験を有していることが必要。
・工事現場ごとに置く。建設業許可を取得した場合、請負金額に関係なく配置する必要がある。
・工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの。
・専任について
専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、勤務中は常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることを意味するもの。必ずしも当該工事現場への常駐(現場施工の稼働中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場に滞在していること)を必要とするものではありません。
原則:公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事(個人住宅・長屋を除くほとんどの工事が該当。民間の工事も含みます)で、工事一件の請負金額が4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上の場合は、工事現場ごとに専任。
例外:要件を満たせば、営業所技術者と兼任可能。要件を満たせば工事現場と工事現場の兼任可能。
ついでなので、営業所技術者と配置技術者の兼任についても触れます。
営業所技術者と配置技術者の兼任
①主任技術者又は監理技術者を専任で配置する必要がない建設工事で、営業所技術者が主任技術者又は監理技術者を兼務する要件
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、工事一件の請負金額が4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上の場合は、工事現場ごとに配置技術者の専任が必要なので、要するにその金額未満の工事です。この場合、下記の兼務要件を全て満たせば、営業所技術者と主任技術者又は管理技術者は兼任可能です。
【兼務の要件】※以下の全てを満たすことが必要(平成15年4月21日付国総建第18号より)
・当該営業所において締結された工事であること
・ 工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接していること
・当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあること
・直接的かつ恒常的な雇用関係にあること
なお、工事現場と営業所が近接していない場合は、下記の【②主任技術者又は監理技術者を専任で配置する必要がある建設工事で、営業所技術者が、主任技術者又は管理技術者を兼務する要件】を全て満たせば、営業所技術者と主任技術者又は監理技術者は兼任可能です。
②主任技術者又は監理技術者を専任で配置する必要がある建設工事で、営業所技術者が、主任技術者又は監理技術者を兼務する要件
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、工事一件の請負金額が4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上の場合は、工事現場ごとに配置技術者の専任が必要です。この場合、下記の兼務要件を全て満たせば、営業所技術者と主任技術者又は監理技術者は兼任可能です。
【兼務の要件】※以下の全てを満たすことが必要
○工事契約(法律)
・当該営業所において締結された工事であること
○請負金額(政令)
・1億円(建築一式工事の場合は2億円)未満
○兼任現場数(政令)
・1工事現場
○営業所と工事現場の距離(省令)
・1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内
○下請次数(省令)
・3次まで
○連絡員の配置(省令)
・監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者の配置
(土木一式工事又は建築一式工事の場合は、当該建設工事の種類に関する実務経験を1年以上有する者)
○施工体制を確認できる情報通信技術の措置(省令)
○人員の配置を示す計画書の作成、保存等(省令)
○現場状況を確認するための情報通信機器の設置(省令)
○直接的かつ恒常的な雇用関係にあること
営業所技術者と配置技術者の兼任で注意すべきこと
公共工事においては上記の要件を満たしていても、契約により営業所技術者と配置技術者の兼任が認められないこともあるので、契約書等を確認する必要があります。
【終わりに】五所川原市、つがる市、鶴田町等で建設業許可の取得を考えられているお客様は、当事務所までご依頼ください
この記事はお客様向けなので、当事務所の「お知らせ」に書きましたが、個人的な感想が含まれたので、「ブログ」の方に書くべきだったかもしれません。
しかし、専任技術者については、私の方では「必要」と説明しているのに、例の行政書士の方で「金額によっては不要」と言われると事務所運営に支障をきたしますし、これから許可を取得しようとされるお客様は事前にネット等で調べられることもあるので大きな影響を与えます。実際、今回当事務所とお客様は影響を受けたと言えます。
さらにこの記事について言うと、それまでは兼任不可のような書き方していますが、それまでも兼任は可能なケースがありました(主任技術者又は監理技術者を専任で配置する必要がない建設工事で、営業所技術者が主任技術者を兼務するケース)。一人親方はこのパターンで許可取得しているはずです。
法改正で記事が古くなったのならわかりますが、わざわざ免責事項まで書いて責任を負わず、わざわざ自分から発信し、大事な部分の内容、とりわけ、建設業許可においては、経管と営業所技術者の要件で困ることも多々あるのに、肝心な部分が不正確なのは専門家としてどうかと思います。
おまけに「note」はGoogleと提携しているので、検索エンジンがGoogleだとSEO評価が高く、検索結果が上位に出やすいのでたちが悪いです。低品質な内容や不正確な内容でも関係なく上位に出ますから。
ということで、五所川原市、つがる市、鶴田町等で建設業許可の取得を考えられているお客様は、当事務所までご依頼ください。
最後に、せっかくなので、配置技術者と配置技術者の兼任についても、そのうち書こうと思います。